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【韓国民法】在日韓国人の相続放棄と注意点
◇日本法と韓国民法で異なるため、注意が必要!
優先順位 | 韓国 | 日本 |
第一 | 直系卑属+配偶者 | 子+配偶者 |
第二 | 直系尊属+配偶者 | 直系尊属+配偶者 |
第三 | 兄弟姉妹 | 兄弟姉妹+配偶者 |
第四 | 四親等内の親族 | なし |
韓国民法での相続放棄手続きとは
相続人が相続の効力を消滅させるために意思を表示することです。相続人は被相続人(死亡者)が財産より借金が多い場合、借金による被害を避けるために相続放棄をすることができます。
相続を放棄するには家庭裁判所に相続放棄の申告をしなければなりません(韓国民法第1041条参照)。
相続の放棄は相続人としての資格を放棄することで相続財産すべての放棄だけが認められます。したがって一部または条件付き放棄は認められません。
相続人は相続開始があることを「知った日から3ヶ月以内」に放棄することができます。 その期間は利害関係者または検事の請求により家庭裁判所がこれを延長することができます(韓国民法第1019条第1項参照)。しかし、実際延長された事例は少ないので、延長ができないと考えた方が良いです。
韓国民法での限定承認手続きとは
相続人の借金の正確な範囲が分からない場合、相続された財産の範囲内で相続を放棄することです。つまり、被相続人の財産だけで借金を清算し、残りの借金は放棄するということです。
相続放棄と同様に、被相続人の最後の住所地管轄家庭裁判所に申告書を提出します。 限定承認の申告期間も相続開始を「知った日から3ヶ月以内」にしなければなりません。
相続人が相続財産を調査したにもかかわらず、財産より借金が多いという事実を(重大な過失なしに)相続開始していることを知った日から3カ月以内に知らず、相続を放棄していないため単純承認(財産を処分することで相続を認めること)になった場合にはその事実を知った日から3カ月内に限定承認をすることができます(韓国民法第1019条第3項参照)。
限定承認をした相続人は相続を受けた財産を整理して被相続人の債権者たちに平等に返さなければなりません。相続人は限定承認の審判文を受けた日から5日以内に日刊新聞社に公告料を払い、限定承認審判文の内容と財産リストを掲載して被相続人の死亡事実及び相続人の限定承認事実を知らせなければなりません。
相続放棄する際の注意点(相続順位の違いからの帰結)
相続放棄を希望する場合には、相続順位と同様に順番通り相続放棄をしなければいけません。まず、第一順位の直系卑属(子、その次に孫)が相続放棄をします。もし、子が被相続人より先に亡くなった場合は、(代襲相続になるため)子の配偶者も相続放棄をします。
次に、第二順位の直系尊属(父母、祖父母)、さらに配偶者まで相続放棄をしたら、第三順位の兄弟姉妹が相続放棄をします。最後に四親等内の親族が相続放棄をして終わります。
しかし、その過程に漏れがあれば、放棄してないその相続人が借金を背負うことになります。
※日本民法での相続放棄手続きと何が違う?
日本より韓国の相続範囲が多い分、相続放棄をしなければならない人数が多いです。そのため、複雑な清算過程を避けるために、限定承認をする場合があります。同順位の相続人が数人のとき、各相続人が限定承認をします。(韓国民法1029条参照)
また、財産によって1人の相続人だけが限定承認をする場合もあります。例えば、第一相続人の一人が限定承認をしたら、第二、第三、第四順位までの相続人が相続放棄をせずに済むということです。
しかし、日本では、同順位の相続人全員が限定承認をしなければなりません。
※その他在日韓国人の注意点
債務が日本にある場合、日本の家庭裁判所で相続放棄の手続きをすることが可能です。しかし、債務が韓国にある場合は、韓国の家庭裁判所で手続きをする必要があります(韓国に住所がない場合は、ソウル家庭裁判所へ)。
韓国民法の日本語訳(抜粋)
第1019条(承認、放棄の期間)
①相続人は相続開始していることを知った日から3カ月以内に単純承認や限定承認又は放棄をすることができる。しかし、その期間は利害関係者または検事の請求によって家庭裁判所が延長することができる。 <改正1990.1.13.>
③第1項の規定にかかわらず、相続人は相続債務が相続財産を超える事実を重大な過失なく第1項の期間内に知らずに単純承認(第1026条第1号及び第2号の規定により単純承認したものとみられる場合を含む)を行った場合には、その事実を知った日から3月内に限定承認ができる。<新設2002.1.14.>
【本文】
제1019조(승인, 포기의 기간)
①상속인은 상속개시있음을 안 날로부터 3월내에 단순승인이나 한정승인 또는 포기를 할 수 있다. 그러나 그 기간은 이해관계인 또는 검사의 청구에 의하여 가정법원이 이를 연장할 수 있다. <개정 1990. 1. 13.>
③제1항의 규정에 불구하고 상속인은 상속채무가 상속재산을 초과하는 사실을 중대한 과실없이 제1항의 기간내에 알지 못하고 단순승인(제1026조제1호 및 제2호의 규정에 의하여 단순승인한 것으로 보는 경우를 포함한다)을 한 경우에는 그 사실을 안 날부터 3월내에 한정승인을 할 수 있다. <신설 2002. 1. 14.>
第1026条(法定単純承認)
次の各号の事由がある場合には、相続人が単純承認をしたものとみなす。 <改正2002.1.14.>
1.相続人が相続財産に対する処分行為をしたとき
2.相続人が第1019条第1項の期間内に限定承認または放棄をしないとき
【本文】
제1026조(법정단순승인)
다음 각호의 사유가 있는 경우에는 상속인이 단순승인을 한 것으로 본다. <개정 2002. 1. 14.>
1. 상속인이 상속재산에 대한 처분행위를 한 때
2. 상속인이 제1019조제1항의 기간내에 한정승인 또는 포기를 하지 아니한 때
第1029条(共同相続人の限定承認)
相続人が数人のとき、各相続人はその相続分に応じて取得する財産の限度でその相続分による被相続人の債務と遺贈を返済することを条件に相続を承認することができる。
【本文】
제1029조(공동상속인의 한정승인)
상속인이 수인인 때에는 각 상속인은 그 상속분에 응하여 취득할 재산의 한도에서 그 상속분에 의한 피상속인의 채무와 유증을 변제할 것을 조건으로 상속을 승인할 수 있다.
第1041条(放棄の方法)
相続人が相続を放棄する時には第1019条第1項の期間内に家庭裁判所に放棄の申告をしなければならない。<改正1990.1.13.>
【本文】
제1041조(포기의 방식)
상속인이 상속을 포기할 때에는 제1019조제1항의 기간내에 가정법원에 포기의 신고를 하여야 한다. <개정 1990. 1. 13.>
(翻訳:2019.03.25)
(参考文献等)
木棚照一監修【第3版「在日」の家族法Q&A】、日本評論社
国家法令情報センター
https://www.law.go.kr/LSW/LsiJoLinkP.do?lsNm=%EB%AF%BC%EB%B2%95#
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