【韓国民法】韓国の戸籍制度・新しい身分登録制度について
韓国における戸籍制度
戸籍制度とは、国が国民の身分関係を明確にするために、戸主を基準にした一家に属する人の身分に関する事項を記録した公文書です。日本では「戸籍法」に基づき、整備されており、韓国にも日本の統治下だった歴史を背景に、「戸籍制度」が存在しています。
・韓国の戸籍制度の問題
韓国の戸籍制度は戸主を基準にして家族関係の身分とその変動事項を編集するため、個人の尊厳と男女平等の原則に反するという批判がありました。また、戸籍謄本という一つの証明書には、本人はもちろん家族全体の身分に関する事項がすべて記載されております。さらに、その発行申請人が本籍さえ知っていれば不当な目的がない限り発行してもらえるので、機微な個人情報がさらされるなどの問題がありました。
・韓国の新しい戸籍制度の誕生
韓国の戸籍制度の問題点に対し韓国の憲法裁判所は、『戸主制は本人の意思や福利とは関係なく、男系の継承という観念に根ざした特定家族関係の形態を一方的に規定·強要している。そのため、個人を尊厳な人格体で尊重するのではなく、家の維持と継承の道具的存在として扱っている。これは〈婚姻·家族生活をどう運営していくかに関する個人と家族の自律的決定権を尊重せよ〉という憲法36条第一項に合致しない。』ということで、憲法不合致の決定を下しました。(憲法裁判所2005.2.3)
そして、韓国の改正民法でも戸主制を廃止すると同時に廃家·分家·復籍等の戸籍関連規定を削除し、現代に合わせた家族関係の登録等に関する法律が新しく定められ、2008.1.1から施行されました。
・韓国の新しい戸籍制度の特徴
新しくなった韓国の家族関係証明制度は、個人ごとに一人一家族関係登録簿が作成され、本人以外家族の情報セキュリティを強化しています。
また、本籍地を廃止し、登録基準地を個人別に定めることとその変更を自由にできるようにしています。したがって本籍に従わず、同じ家族であっても登録基準地を異にすることができます。
そして、本人・直系尊属、直系卑属・配偶者が発行できるようになり、第三者が発行する場合には、法律で特別に認められた場合以外は発行権者からの委任を受けてから発行ができるようにしました。家族関係登録簿を発行してもらうためには、本籍の代わりに氏名、住民登録番号、または生年月日を知らなければなりません。
(参考文献:木棚照一監修【第3版「在日」の家族法Q&A】日本評論社)
韓国の戸籍や家族関係登録簿を取り寄せる方法
日本法と同じく、遺産分割協議に先立ち、相続関係を明らかにするためには、韓国籍の被相続人について、「出生から死亡まで一連の戸籍謄本等」の交付申請を行い、漏れがないように集めなくてはなりません。これらの交付申請は、故人様の住民票上の最後の住所地では申請することが出来ず、駐日本大韓民国総領事館を通して、大韓民国へ請求しなくてはなりません。請求に際しては、「ハングル」を用いて請求しないといけなかったり、各種相続手続きに使用するためには、「ハングル」で記載された公的書類を日本語に翻訳することが求められる場合など、言語の壁が立ちはだかります。
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